26.6.27【王ステ×女王ステ合同企画】鵜飼主水 × 南武杏輔 対談インタビュー

語りあう

7月12日(日)23:59まで無料公開中

「殺陣はキャラクターの延長線上にある」

 

王ステシリーズで殺陣振付・出演を務める鵜飼主水と、女王ステシリーズの殺陣振付を担当する南武杏輔。普段は別々のシリーズでそれぞれの世界を作り上げているふたりが、初めて腰を据えて語り合った。話が深まるにつれ、哲学の一致への驚き、本番前のリアルなすり合わせ、そして共通の目標へ、対談はいつしか雑談の枠をはみ出していった。

Q. 殺陣振付で意識していることは?

 

南武: 女王ステで意識しているのは、まあどれも同じかもしれないけど、特にやっぱり、元が殺陣師がいなかった、アクション振付・アクション監督がいなかったってこともあって、よりこう、パッと見たときにキャラクターがよくわかるようにしたいなって思いながら振り付けていて。アクションの手がどうっていうよりは、キャラクターがしそうなこと。特に王ステも拝見するとそうなんだけど、キャラクターが多いから、動いているのを見て「あ、このキャラクターだな」ってわかったらいいなって思いながら振り付けていることが多いですね。

 

鵜飼: でもさ、普通にさ、女の子ってアクション初めてやる人が結構やっぱ多いじゃん。その中でキャラクターを見せようと思っても、技量云々もあるしさ、大変じゃない?

 

南武: います。結構いる、結構いる。でもやっぱりみんなダンスをやっているから、いかにその部分からエッセンスを取れるか。むちゃくちゃ素敵だなって思うのは、もちろん初めての方もいっぱいいるし、何個やっても武器が違う、外では銃を使ってたけど剣は使ったことない、みたいな子がいっぱいいる中で、アクションに入る前とか振り終わりの所作がうまい子が多いから。そこを目指して作ったりとかはある。

いかに戦う前が大事なのかを説明して、いかに戦い終わりの「ズバーン!斬りました、お客さんにパーン!決めました!顔正面に向きました」、ここが大事です!みたいな(笑)。それをこう、半ばプロデューサーみたいな気持ちで。

 

鵜飼: 全く一緒!全くその思想、俺も一緒だもん。全くもって一緒。殺陣の始まる前と終わる形が、どれだけかっこいいかを目指してるっていうか。だってぶっちゃけさ、やっぱ見てる人はさ、間の殺陣のかっこよさ云々ってやっぱわからないじゃない。

 

南武: 早いとね、もうついていけないしね。ある程度後方の席の方とかは、キャラクターもちっちゃく見えてるし、ついていけないから。

 

鵜飼: だから印象に残るのはやっぱり最初と終わりなんだよね。

 

南武: そうそうそうそうそう。嬉しい。それをやっぱり、女の子だと特に意識してるかな。男の子と女の子で、むっちゃ子供の頃に、剣とか戦いごっこをしてたんだろうなって思うこともある。剣を持ったときの男の子の持ち方と、女の子の単純に武器を持ったときの持ち方って全然違うから。それもあって、女の子の方がよりこう「戦っているように見えるにはどうするのか」を意識することが多い。

男の子だと合間合間でも、すごく戦う。スポーツやってた、1対1の駆け引きがあるタイプの、サッカーとかバスケとかね。そういう対人の緊張感が自然に出る。女の子はその辺、やったことがないっていう方がやっぱり多くて、もともとアイドルをやっていた方とかも多くて。その中で対人の緊張感の見せ方は、アクションが始まる前と、この一瞬パッと離れたときのキメがやっぱり大事だなって思う。男の子はその辺が上手かったりする。

 

鵜飼: まあ、そうだね。なんだかんだまとめやすいよね。

 

南武: そう、そう、そう。だから王ステを見に行ったとき、ああ、男の子やなって思う(笑)。

あと、僕の中での男の子現場と女の子現場の違いで、スリリングな状況をより楽しめるかどうか、っていうのもあって。

 

鵜飼: え、どういうこと?

 

南武: 男の子ってなんだかんだ、ちょっと近間で振ったりしても楽しんでくれるというか、このギリギリで避けてる感じがおもしろい、って思ってくれる子が一定数いると思っていて。キックボクシングやってたりとか、格闘技やってる方とかもいるから、顔の近くを剣が通ることにも慣れてる。でも女の子には伸び伸びやってほしいから、なるべく遠間遠間で。

 

鵜飼: なるほどね。

 

南武: 遠間遠間で振って、まず気持ちよく振ってから、近くしましょうみたいな。近く行っちゃうのはめっちゃわかるんですけど、一回遠間で。そのキャラクターが思いっきり動いてるのが、より舞台としてはいいから、ちょっと一回そっちを優先してもらって。役者さんとしては攻撃してるから近づきたいっていう気持ちもあると思うんですよ。それをやめてもらう。女王ステのアンサンブルの子たちには「もっと遠くていい、もっと遠くていい」ってめちゃめちゃ言うかな。とにかく距離をとって、主役のキャラクターがのびのび立ち回れるようにしてください、って。

 

鵜飼: いや、すごいわ。なるほど、そういうことだったんだ。なんかさ、結構女王ステの方がさ、武器も多種でさ、剣もありゃ、銃もありゃ、弓もありゃ、カバンもありゃ、その中で結構成立させてるのは南武くんの、これ腕だなと思っていて。

 

南武: ありがとうございます。カバンは楽しかったですね。やっぱりこの変わり種が出てくるとね(笑)。

逆に王ステのほうは?

 

鵜飼: 基本的に剣。剣、槍、旗。変に銃を混ぜると本当にパワーバランス崩れるから(笑)。あと嫌いなのがさ、舞台で「俺は銃の名手、私は弓の名手」っていうやつが全然当たらないの。

 

南武: 悩ましいんですよね。弓が出てくると、ことごとく当たらないので。序盤の立ち回りで倒してはいけないっていう。怪我をしてもいけないっていう。

 

鵜飼: 何が名手じゃ、ってなっちゃうから、なるべく出したくないんだよね。

 

南武: シリーズならではだと思うのが、メインキャラクターが不死身だから、斬られてもいいっていうこと。これ、他の舞台と圧倒的に違う。通常の舞台であれば斬られていく美学の先には敗北だけ、死だけ。だけど、このシリーズは回復するじゃない!みたいな。

 

鵜飼: ちょっとさ、今すり合わせたい、もはやこれはもうこの対談なんかどうでもよくて(笑)、不死者の死に戻り方どうする?

 

南武: それはめっちゃ、お互いの質問で聞きたかった!

 

鵜飼: 俺は一回完全に死んでから、勝手に死から連れ戻される。胸から強制的に起き上がってる風にしてみたりとか。死んでることに後から気づくみたいな。

 

南武: 逆に、女王ステでは、死亡するところまで追い詰められたことは、正直あんまりなくて。ギリギリ倒れて、直近の作品でようやく銃で撃たれて、そっから復活するっていうのがほぼ同じ流れかな。じゃあこういう形はどうですかね、ってキャストとやったけれども、おっしゃる通りのことをやった。やっぱこの方法だよね。

 

鵜飼: よかった!あっぶねー(笑)。

 

南武: これはよかった(笑)。でも結構死に戻ってるんだね。

 

鵜飼: 結構ね、うちら死にやすい。致命傷をちゃんと食らう。

 

南武: でもそれはやっぱり王ステならではかなって思う。ヴラドとヴィンツェルの2人がずっと出てるから、できるのかなって思うんですよね。強さみたいなものも、最近ね、不死者にも強さにランクあるよね、って。

 

鵜飼: あーわかるかも!

 

南武: 女王ステの前半はあんまりなかったんですけど、王ステと平行して走っていく中で、だんだんこう、あれ?この不死者、そんなに強くないぞ、戦闘能力が高くないぞ、とか。棲み分けされてきて。

 

鵜飼: そうなんだよ、戦争経験者と戦争経験してないキャラクターがいて、経験してないキャラクターは弱いんだよ。うちのキャラクターにジェリコっていうヤツがいるんだけど、そいつの強さの理由を磯野大に説明した時は、「痩せ我慢」って伝えた(笑)

 

南武: 痩せ我慢!(笑)

 

鵜飼: 痛いって言うけど、平気だけどって顔するからこいつは強いんだよ、不死者だから傷治るからみたいな。でも基本的には武術の強さはない、痩せ我慢って。うちらいつもキャラクターを10段階評価してるんだけど、マリアタとかは元の能力的には、剣術習って何百年も生きてるから、まあ8。で、プラス不死者ブーストで9か10みたいな。ヴィンツェルは、元がマリアタより強くて9ぐらいあって、不死者ブーストで11とか12まで上がるとか、キャラクターごとに武術の強さを数値化しちゃう。

 

南武: 何ですかその成績表みたいなの(笑)。女王ステのエリザベートは、死に慣れきってるってことにした。死んでいく感覚とか、傷を負う感覚に慣れすぎて、新人の不死者さんってそのダメージを負うことが怖いから構えるけど、エリザベート様に関しては、ノーガードでお願いします。首切られながらズバーン切られながら切る、みたいな。

 

鵜飼: いいねぇ!超越しちゃってるわ。

 

南武: 痩せ我慢を超えたキャラクターですね(笑)。今日、死に戻り方と強さの設定が擦り合わされて、本当にプラスになりました。今月振り付けがあるんで。

 

鵜飼: 俺もでかい。うちは来月ありますからね(笑)。

 

南武: シリーズを何作か見させてもらっている上で、素敵だなって思うのは、マリアタが強くなっている描写が好きで。黒の王の初演を拝見したときから、この後のシリーズを見て、めっちゃ強いやん、みたいな。

 

鵜飼: そうだね。本当にマリアタは、スタートはもう黎明期みたいな、ちょっと幼い頃から、一回「いや、違う、俺、不死者になったら、俺神なんじゃない?」みたいな反抗期があり、一回人間辞める時期があり、そこからもう一回「やっぱ俺、人じゃん」と思う時期もありっていう、やっぱ人間の変遷があるから。それに合わせて強さも、強くなったり、人間に寄ったときは弱くなるし。

 

南武: メンタル性がやっぱり戦い方に出るんですね。女王ステでも、戦いを好むキャラクターって必然的に強くなっていくし、前のめりだから。戦いに関して後ろ向きなキャラクターって、不死であっても弱い。

あと、マリアタとヴィンツェルが強すぎて、王ステを見に行ったときの僕の見方なんですけど、どうやったらこれで全滅エンドを回避するのか、って(笑)。いやいや、強すぎるだろうって。

 

鵜飼: 強いよねぇ(笑)。

 

南武: 何百年分の知識があるし、武力もあるし。心から応援したくなる、キャラクターたちを。一人でも多く生き残って!って(笑)。

 

鵜飼: あいつらがチートなだけだから!

 

南武: あいつらが悪いだけだから、なるべくなら出会わないで!って思う(笑)。

不死者を恐怖させる存在、という話で、『月よ女王に嗤え』で見た場面がすごくよくて。アンとアトレイユという2人の不死者がいて、まだ動けるアンに銃を突きつけて、逃げようとしているのを撃つ場面があって。台本上で不死者が恐怖を感じる描写があって。じゃあこいつらがどうやったら怖がるんだろうってなったとき、銃火器を持って、ダメージを負っているところにさらに銃撃してくるような奴がいたら怖いだろう、みたいな。

 

鵜飼: あれはいいサイコパスだったね。

 

南武: そう、すごいサイコパス(笑)。それをかっこよく演じてくれて、本当に怖えなって思いながら、振り付けながら「これはどうやったら勝てるんだ」って。構図が逆で、人間の方がめちゃめちゃ怖くて。

不思議と女王ステの不死者たちって、登場しているときに人間味を帯びている時期の方が多いというか。シリーズ通して出てるキャラクターが少ないっていうのもあって、基本的には人間であろうとするほうが多いのかなって思ってる。

 

鵜飼: 人間性をなくしちゃったからより人間であろうとする、みたいな感覚ね。いいよね。

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