25.11.13音が紡ぐ女王ステと王ステの歴史

思いだす

 

『女王ステ』『王ステ』を音楽で支え続けてきた作曲家:hoto-D。

舞台上で紡がれる物語の背後には、常に“音”が存在し、その旋律は作品そのものの深化と共鳴し続けてきた。

 

本インタビューでは、「悪魔召喚の歌」「WW」「果てしない世界へ」などシリーズ楽曲の誕生秘話に迫る。長年シリーズを追うファンも、これからその音の世界に触れる方も必見のロングインタビューである。

 


 

アセビカンナ:早速ですが、少し昔に遡ってお聞きしたいと思います。「女王ステ」が始まったのは2019年1月ですが、最初にどういった経緯でhoto-Dさんに楽曲をお願いすることになったのでしょうか?

 

hoto-D:女王ステが始まる1年前くらいに吉田さんと初めてお会いする機会がありました。別の作品でご一緒する機会があり、その作品の後に女王ステの企画が発足するタイミングで、お声がけいただきました。女王ステのテイストとマッチする作品を経験していたので、始まったという感じですね。

 

アセビカンナ:もともとタッグを組んだ状態で、女王ステが始まったという感じだったんですね。

 

hoto-D:そうですね。あまり話したことがないくらいの、仕事上の付き合いから始まる感じでした。

 

アセビカンナ:なるほど。では、シリーズの一作目ということで、ご自身の中でのイメージや方向性は、どのようにして曲作りに反映させようと考えたんですか?

 

hoto-D:初めから一貫してダークで、誰も報われないガールズ演劇のコンセプトだったので、アニメテイストだったり、女性アイドル感をベースに意識していました。

 

アセビカンナ:では、個々の曲についてもう少し深掘りしていきたいと思います。赤の女王といえば、「悪魔召喚の歌」がシリーズの鉄板曲になっていると思いますが、この曲はどのような流れで生まれたのでしょうか?

 

hoto-D:多分あの頃は、先に吉田さんのイメージがあったと思います。悪魔召喚のシーンで、呪文を唱えたいという感じだったと思うんですが…正直、あまり覚えていません。

 

アセビカンナ:もともと悪魔召喚をするシーンのオーダーがあったんですね。一方で、「果てしない世界へ」もシリーズの代表曲になってますけども、こちらはどういった感じですか?

 

hoto-D:すごく簡単に言うと、感動するバラード。一番ピークのシーンで流す曲。起承転結の中で一番ピークに来る泣けるやつ!ぐらいの感覚で制作してました。

 

アセビカンナ:そういう意味ではインスピレーションでパッと作れるものなんですか?

 

hoto-D:どうだったかな、悩んだかもしれないですけど…。できる時とできない時はあるんですよね(笑)

 

アセビカンナ:そこから、2作目「楽園の女王」「純血の女王」と続いていき、女王ステの世界観がだんだん固まっていったと思うんですが、そのあたり楽曲作りの面でいかがでしたか

 

hoto-D:そうですね。世界観はより見えてきますが、ずっとアニメのようなイメージはあります。アニメの一期二期でオープニングが変わるように、曲のテイストを維持しつつ大きく変えない意識で制作しております。

 

アセビカンナ:そして「女王輪舞」「女王演義」とジャック編が始まり、かなり作品のテイストが変わったという印象だったのですが、楽曲のテイストはいかがでしたか?

 

hoto-D:「女王輪舞」は時代背景が近代になっているので、現代的な音楽も取り入れて少しジャズ寄りの要素が入っています。これまでの曲はベースをクラシックにして、現代的に解釈したロックをプラスしておりました。そこにジャズの要素を加え、1900年代の雰囲気を意識しておりました。

 

アセビカンナ:音楽に作品の時代背景みたいなものをちょっと取り入れた工夫が施されていたんですね。 一方で「女王演義」は一転して中国テイストとなりましたが、そのあたりの楽曲作りはいかがでしたか?

 

hoto-D:中華系の曲はあまり経験がなかったのですが、以前から作ってみたいと思っていた曲だったため、とても楽しく作れました。和風の曲を作ることはよくあったので、中国やアジアの楽器の音源も持っており、新しいジャンルの挑戦でしたね。

 

アセビカンナ:中国の音楽からインスピレーションを受けてアレンジしたということでしょうか?

 

hoto-D:そうですね。イメージですけど、中国といえばこんな感じじゃないかなと、中国楽器を使って制作しました。

 

 

アセビカンナ:続いて「赤の女王」と「純血の女王」を再演するという運びになりましたが、再演するにあたって楽曲っていうのは再アレンジされたりするのでしょうか?

 

hoto-D:そうですね。過去の曲は音がちょっと古いなと感じるところは作り直してます。日々、機材が進化していくのもあり、ミックス面では再編集しているんですね。

 

アセビカンナ:より上質な音になっているということですね。さて、王ステについても少しお話を聞いていきたいと思います。王ステは2020年、女王ステが始まった後に「黒の王」が1作目として始まりましたが、女王ステのメンズverという形で最初はどのようなアプローチで曲作りを始めたのでしょうか?

 

hoto-D:世界観は近いものだという、シリーズものとしては共通の認識があったので、男性が歌うからこその男性らしさを考えておりましたね。

 

アセビカンナ:やっぱり女性が歌うのと男性が歌うのとは全く印象が変わりますもんね。そのあたりは当然キーをただ下げるだけではなくて、男性用のアレンジというのもされるということですかね。

 

hoto-D:そうですね。気づかないぐらいのこだわりも加えていたりしますね。吉田さんからガラッと変えてほしいとのオーダーがある時は別物としてメロディーだけが生きてるっていう時も ありますね。

 

アセビカンナ:さあそんな「黒の王」の後、コロナで延期を挟んで2年越しに「星屑の王」が2022年の7月に上演されましたが、テーマが”星”というところでいろいろな曲を書かれたと思いますが、ご自身の中ではどういうイメージで作られましたか? 

 

hoto-D:そうですね。星というよりは、1作目を経験したことによって、王ステが目指す方向が明確化され、「黒の王」とは違うテイストになったって感じですかね。

 

アセビカンナ:一作目を経て、方向性をさらに定めて作ったという感じだったんですね。「星屑の王」の楽曲は、少し儚い印象で、星に手を伸ばすけれど届かないようなイメージを受けたのですが、そういったイメージを持たれて作られたのでしょうか?

 

hoto-D:まさにそうですね。 力強い男だからこそ切なさを表現した方が刺さるんじゃないかと思いまして。切なさとか弱さとかをちょっと意識してますね。

 

アセビカンナ:一転して、「屍の王」はまさしく”戦い”というような作品でしたが、こちらの楽曲作りはいかがでしたか?

 

hoto-D:僕は元々ギタリストなので、ギターを軸に作ったり、クラシックの中にギターやドラム入れたりはよくやってたんですけど、「屍の王」に関しては敢えて最初から現代楽器を使わない縛りで作ってましたね。僕自身、クラシックやオーケストラ楽器だけで作るっていう そういう勉強してこなかったので超大変でした(笑)

 

アセビカンナ:そういった意味ではご自身のルーツとなるギターを使わないっていうのは、かなりの挑戦だったのですね。

 

hoto-D:結果としてすごく評判も良く、とても嬉しかったのですが…「またそういう曲を作ってほしい」という地獄のようなオーダーが始まってしまい…(笑)

 

アセビカンナ:一回出来てしまったがために(笑)そして「屍の王」の評判を受けまして「黎明の王」が翌年にあったわけですけれども、シリーズの中でもかなりターニングポイントになるような作品でしたが、「黎明の王」の楽曲作りはいかがでしたか?

 

hoto-D:そうですね。ジェリコのイメージが強すぎてジェリコのために作ろうという想いが強かったですね。圧倒的魔王感といいますか、そんなイメージでした。

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