25.6.16『王たちの流儀』Vol.4:輝山立

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『黎明の王』を振り返る

初参戦で出会った「ビクター」という挑戦

 

――王ステシリーズ初登場となった『黎明の王』。出演の話が来た時の印象は?

 

輝山立:シリーズとして既に何作か続いているのは知っていたんですが、作品自体はまだ観たことがなかったんです。でも、SNSなどで見る世界観作りがすごく魅力的で、「この世界に入ってみたい」と思ったのが最初の気持ちでした。

 

――演じたビクターという役はいかがでしたか?

 

めちゃくちゃやりがいあるなって感じましたね。クールで強くて、ちょっと悪くも見えるけど、実は真っすぐな男。そういうタイプの役は、実は今まであまりやってこなかったので、すごく新鮮でしたね。
物語の構造的にも、ジェリコ(磯野大)と一緒に行動して、謎を紐解いていくという役割が面白かったです。

 

また、亡霊となった兄(アイヴァン/田中晃平)との関係性も、実際にいるかのように話していて、最初は「何か変だな」と思わせる距離感が、後に種明かしされた時に「ああ、そういうことだったのか」と納得できるような仕掛けになっていて、あのギミックは演じていてすごくやりがいがありました。楽しくて、稽古期間があっという間でしたね。

 

――アクション面でも印象的でした。ビクターのビジュアルは真っ黒な衣装に武器はボウガンと銀の拳銃とナイフという、かなり特殊な役でしたが、その点は?

 

そうですね、今までの出演作でもここまで“撃って斬って”というアクションはなかなか無かったです。
でも楽しかったですね。ああいうエンタメに特化した武器のアクションってファンタジーになりがちだと思うんですけど、そこは主水さん(鵜飼主水)が、武器や動きのリアリティを細かく計算してくれて。「この距離なら説得力あるよね」と思えるような立ち回りを作ってくれていたのがすごく印象的でした。
楽しくて、まるでゲームの世界にいるような感覚になりながらも、ちゃんとリアルに落とし込まれていて、すごく好きなアクションでした。

 

 

兄・アイヴァンとの“見えない記憶”を紡ぐ

 

――アイヴァン役の田中晃平さんとのお芝居作りで印象に残っていることはありますか?

 

かなり早い段階から、晃平くんと一緒に「2人の過去をどう想像するか」って話をいっぱいしました。
アイヴァンが亡くなるまでの幼少期をどう過ごしてたんだろうとか。例えば「狩りの仕方は兄から教わったよね」とか、「武器の使い方も森で学んだのかな」とか。セリフにはないけれど、観客に“2人が一緒に見てきた景色”を感じてもらえるように、バックボーンを細かく作り込んでいきました。

 

それこそ最後はアイヴァンがビクターを守って亡くなっちゃうわけですけども、そこにどれぐらいの辛さを積み上げれるかみたいな2人の関係性を話していました。例えば両親について、父母の存在についても話しました。「父は怪我をしていてもう狩りに出られなかったのかも」とか、「もしかしたら2人で生計を立てていたのかも」とか…そういう、描かれていない部分をたくさん共有して作っていきました。
特にやっぱり『黎明の王』は回想シーンがすごく短いけど大事、みたいな描かれ方だったんで、この熱量をどこまで上げれるかというのが僕と晃平の勝負でしたね。

 

――ジェリコとの関係も、前半は“仲間”、後半には“敵”へと変わっていく特殊なものでした。

 

大ちゃんとも稽古中、かなり細かく動きの辻褄を合わせていきましたね。裏切りに至るまでの経路というか、「こういうルートを通ってここに立ってるよね」みたいなことを徹底的に話し合って、物語の流れにリアリティを持たせていきました。作中では描かれていない「こことここのシーンの間はどういう動きをしていたのか」みたいに辻褄合わせをしていく、あのプロセスはすごく印象に残っています。

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