今村美月(STU48)、馬嘉伶(まちゃりん) (AKB48)インタビュー
2.5次元からオリジナルミュージカルまで、数々の話題作を世に放ってきたILLUMINUS。
最先端のテクノロジーと演出できらびやかな世界を生み出してきたクリエイター集団である彼らが、日本の伝統芸能・落語に挑む。美しい日本語を題材にした新作落語に挑んだ若い女優達は、なにを思い、なにを感じて高座に上がったのか。第1回のインタビューでは今村 美月(STU48)と馬嘉伶(AKB48)の2人に、終演後の素直な感想をうかがった。
今村美月
STU48のキャプテン。広島県出身。
馬嘉伶
AKB48チームAのメンバー。台湾・台中市出身。
「落語」──昔チックなイメージがすごくあった
普段はきらびやかなステージに立つ2人も、中身は20代の女性。これまで「落語」に触れる機会は少ない。ましてや自分がそれをやることになるなんて。
今村 「古典落語と現代落語というのがあることさえ知らなかったんです」
馬 「堅いっていうイメージがあったんですよ」
ーそう語る2人も、本番を迎えて思いは変わったという。
今村 「こんな今風なお話っていうか、女子の会話とか、そんなのもあるんだって」
馬 「最初に台本をもらって面白いって。やってみて楽しいって変わっていったんです」
ー彼女たちの例に漏れず、なかなか触れる機会の少ない落語。『麗和落語』で初めて高座に触れた観客も多かっただろう。
今村 「今風でわかりやすい! 落語に入るのはILLUMINUSさんからで!笑」
馬 「観に来てくれたファンの方からも『落語って楽しいね』って言ってもらえました!」
自分1人で15枚の台本、セリフ覚えが大変でした
初挑戦の落語の指導は作家も務める23とZOOMを使って二人三脚で行われた。しかし当然それだけでは足りない。彼女たちはどのように自主練習を行ったのか。
今村 「お風呂とか、移動中とかとにかくずっとしゃべってました。横で聞いてくれる両親に『やばい子だね』って言われたり笑」
馬 「AKBのおしゃべりが上手な後輩に聞いてもらったんです。すごく真剣に聞いてくれるんだけど途中で話しかけてきて笑。『え、そうなの?』とか『それからどうなるの?』とか。聞いてくれるのはうれしいんだけど、お願いちょっと何も言わないで集中させてって笑」
今村 「でも反応してくれるから、楽しみながらやってました」
馬 「目標は何も考えなくても口が勝手にしゃべるくらい練習しないとだめだと思って。最後はケータイで通販サイト見ながらでも口が勝手に動きました笑」
ーこれまでにない挑戦に、周りの人たちも興味をもって助けてくれる。そしてそれに甘えることなく自分を追い込む姿は頼もしさすら感じる。
きりたんぽのくだりとか、自分で考えていたりして
23 「本番初日は本当にガッチガチだったもんね。そのガチガチなカンジもまた良かったけど」
ー指導を行った23は、それでもステージごとに自由に魅力を発揮する今村に感心したとのこと。
今村 「3日目とかはすごくリラックスできて。台本に無いアドリブもいっぱい考えて入れました」「だんだん楽しみ方がわかってきて、楽しみ方が色々あるんだってわかって、出来てよかったです」
「ず」とか小っちゃい「つ」とか「を」とか、すごい苦手で
台湾出身の馬嘉伶にとって、今回の挑戦は日本語への挑戦でもあった。普段の会話では流暢に日本語をしゃべる彼女も、落語の「はなしことば」には苦労したそう。
馬 「『だっつーのにね』をすごく練習しました。苦手の集まりです」
ーそれでも、何度も繰り返し口にするたびに意識は変わったという
馬 「途中無理かなって思うこともあったけど、最後は無事に千穐楽を迎えることができてとても楽しい、良い経験でした」
緊張、心の休憩、「呼吸が足りないっ笑」
ILLUMINUSの落語シリーズの面白いポイントの一つに「2人落語」がある。本来1人で演じる落語だが、作家23による自由な発想から、女優2人が同時に高座に上がる「掛け合い落語」と呼びたくなる演目だ。
『ず』とか小っちゃい『つ』とか『を』とか、すごい苦手で
馬 「呼吸ができない!って思ったんですよ、一人の落語は。足りないんです『心の休憩』が」
今村 「私は本当に息が足りなかった笑。喉がカピカピになっちゃってました笑」
馬 「2人落語の方は掛け合って相手が話してるところが『心の休憩』」
今村 「息継ぎができるから、そこで相手の呼吸も知れて」
-これまであまり関わり合いがなかった今村と馬の両名だが、今回ですごく仲良くなったそう。
今村 「48グループならではのお話、悩みとか色々、ずっとしゃべってました笑」
馬 「普段違うところで活動してるので、活動の内容とか最近どんな活動してるかとか。無限にずーっと喋ってて。すごく楽しくて!」
好きな日本語は?
ILLUMINUSオリジナル現代落語シリーズ『麗和落語』。その企画コンセプトにこうある。
『麗しきその姿の影に、美しき努力あり。座布団にしゃなりと座れば、手ぬぐいが財布に扇子がスマホに、そこに広がる無限の世界』
令和の時代に輝く彼女たちのその努力と、落語の持つ時代を超える魅力。その2つを結ぶのは日本語本来の美しさ。彼女たち自身はどんな言葉に惹かれているのか。
今村 「『感恩報謝』という四字熟語が好きです。恩を感じて謝に報いるって意味で、いただいた恩を返せるように、無駄にしないっていう心意気のこと、この言葉が好きですね」
馬 「好きな言葉は『ハンコを押してください』」──一同笑いとビックリ。
馬 「初めて日本に来て電車に乗るとき、まだSuicaを持ってなかったら切符を買ったんですね。それが記念に欲しかったので、ハンコを押してもらうと持ち帰れると聞いて。それで駅員さんに『ハンコを押してください』って。日本に来て初めて覚えた言葉です。日本に最初に来た時の気持ち、初心に返ることができますね」
自分の可能性を感じられたことが何よりうれしい
これまでにない挑戦を終えた2人。今後の挑戦に向けて意気込みをうかがう。
今村 「終わった直後は不安というか、『大丈夫だったかな?』という思いが強かったんですけど、日が経つうちに達成感も出てきて、自信になりました」
馬 「落語の魅力を自分自身で見つけることができて、それをやったんだっていう、『私にも可能性があるんだ』って思って、楽しくなりました」
ー演じ手が本番を楽しむ、それを通して自分の自信へと返っていく。2人の落語への挑戦は成功に終わったと胸を張っていいだろう。
馬 「自分も落語初心者ですけど、またたくさんの人に発信していきたいと思います」
今村 「私自身『もっと落語みてみたい!』と思ったんです。その魅力をまた私も感じたいと思います」
ー2人の次の挑戦も、そう遠い未来ではなさそうだ。
(インタビュワー:23 文責:佐野木雄太 写真:豊川裕之)
「麗和落語~二〇二二春の陣~」ディレイ配信
「麗和落語〜二〇二二春の陣~」
脚本・演出:23
衣装協賛:ふりふ
企画・制作:内幸町ホール指定管理者 株式会社コンベンションリンケージ ILLUMINUS
配信期間:2022/3/12(土) 10:00 ~ 2022/3/27(日) 23:59
●プログラム&出演者
2月8日(火)19:00
今村美月 (STU48)・植野祐美・工藤理子(STU48)・馬嘉伶(AKB48)
https://teket.jp/1018/10641
2月9日(水)19:00
今村美月 (STU48)・遠藤三貴・工藤理子(STU48)・馬嘉伶(AKB48)
https://teket.jp/1018/10642
2月10日(木)19:00
今村美月 (STU48)・植野祐美・工藤理子(STU48)・馬嘉伶(AKB48)
https://teket.jp/1018/10643
2月11日(金)11:30
石丸千賀・中野郁海・古舘葵(NGT48)・西村菜那子(NGT48)
https://teket.jp/1018/10644
2月12日(土)15:00
植野祐美・髙畑 結希(SKE48)・中野郁海・古舘葵(NGT48)
https://teket.jp/1018/10648
2月11日(金)18:30
植野祐美・髙畑 結希(SKE48)・谷茜子・西村菜那子(NGT48)
https://teket.jp/1018/10646
2月12日(土)11:30
石丸千賀・植野祐美・古舘葵(NGT48)・西村菜那子(NGT48)
https://teket.jp/1018/10647
2月12日(土)15:00
石丸千賀・遠藤三貴・中野郁海・古舘葵(NGT48)
https://teket.jp/1018/10645
2月12日(土)18:30
石丸千賀・遠藤三貴・中野郁海・古舘葵(NGT48)
https://teket.jp/1018/10649