
第1回 学院長は…邪神⁉︎
‐クトゥルフ神話の邪神と黒魔術の関係とは!?‐
入学はやめておきなさい
ミエリ:第1回目は本学院の学院長・クアチルさんと、学年主席のコクナ・ミサさんにお話を聞きたいと思います! クアチルさん、ミサ、よろしくお願いします!
クアチル:なんだか緊張いたしますね?
ミサ:このインタビューの目的は、新入生に向けたものっていうことなのかしら?
ミエリ:そうですね。
ミサ:なら先に言っておく。あなたたち? 入学はやめておきなさい。
ミエリ:ちょっとミサ〜。
ミサ:私は中途半端な考えで来てほしくないと思っているわ。絶対死ぬもの。
ミエリ:もう~、クアチルさん、フォローお願いします!
クアチル:ミサさん。新入生がやってくるということは、今度はあなた方が先輩になるということですよ?
後輩ができたら、楽しいじゃありませんか。
ミサ:私たちが……先輩に……?
ミエリ:エウラリアには素晴らしい寮長たちもいますし。私たちも寮長たちを見習って……あれ?
ミサ? 顔が赤くなってるけど……?
ミサ:無理無理無理! 絶対ムリ! 私は自分のことだけで精一杯よ。あなたたち! やっぱり入学はしないで!
黒魔術って、神への叛逆行為だった!?
クアチル:ミサさん。自信をもってくださいな。
あなたは《深淵の姫君(プリンシエ・アビスン》として、様々な窮地を乗り越えてきました。
その経験は十分、新入生たちの学びになるはずですよ。
ミサ:ちょっとクアチル。いいの? プリンシエのこと。軽々しく話して?
クアチル:問題ないでしょう!
あなた方は我が学園が誇るイリスたちなのですから。
ね?ミエリさんも《深淵の姫君(プリンシエ・アビスン)》のお一人です。
ミエリ:えっと、一応、新入生のみなさんにもご説明しておくと……。
黒魔術というのは、「神への叛逆」なんですよね?
クアチル:ええ! なんたって「黒」魔術ですから。
人を呪ったり、惚れさせたり、毒を作ったり、怨霊と交信したり……。
ミサ:死者を蘇らせようとしたりね? ま、私は断念したけど……。
ミエリ:あーもう! お二人とも! そんなんじゃ、全然広報になりませんよ!
黒魔術はいいことにも使えます! ……灯りをともしたり。
ミサ・クアチル:……。
ミエリ:えーっと!!!よーするに、黒魔術というダークな魔術を行使するには、ダークな力が必要です。
そこで、我らイリスたちは、邪神の力を使うわけです!
クアチル:そんな邪神の申し子。強力な黒魔術を扱えるイリスが、《深淵の姫君(プリンシエ・アビスン)》というわけですね?
ミサ:私は《深淵の姫君(プリンシエ・アビスン)》だから、生き延びられた。あなた達には無理よ。
ミエリ:まだ言うか! エウラリアには、黒魔術を学ぶフツーのイリスたちもたっくさんいます! そうですよね、クアチルさん?
クアチル:ええ、もちろん。業界未経験、フツーの方でも楽しく学べる、アットホームな明るい学校ですよ。
ミサ:何、そのブラック企業の求人文言みたいな言い方……。
クアチル:黒魔魔術とはすなわち、神々が定めた理(ことわり)を疑い、塗り替える力。
その起源をたどれば、我々《邪神》の領域に行き着くわけですが……。
ミエリ:あーっ! クアチルさん! 今、〝邪神〟って! 〝我々〟って!
クアチル:おほほほ……、これはこれは。でもみなさん、クトゥルフ神話で親しみがあるんじゃないですか?
ミエリ:そういう問題じゃなくてですね!
ミサ:諦めなさい。手遅れよ。このインタビューって編集できるの?
ミエリ:《宇宙すべての記録(アカシックレコード)》を書き換えるのは私の黒魔術レベルではちょっと……。
クアチル:まあ、まあ。覆水盆に返らずですよ……って、忘れていました!
ワタクシ、クァチル・ウタウスは時の邪神。ならば、時間を遡って差し上げましょうか?
ミエリ:あーっ! また言った! 学院を運営する《友愛会(グランロッジ)》のお歴々に怒られますよ!?
ミサ:だけど、クアチルが学院長だからこそ、実践的な学びがあることは事実ね。
クアチル:ウィ。我が校は即戦力のイリスを育てておりますからね〜
ミエリ:とほほ……、最後にフォローありがとうございます。
新入生の方が入学したくなったかやや疑問ですが、お二人とも、ありがとうございました!
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