2021年より展開してきた、女性キャストによるオリジナル現代落語シリーズ『麗和落語』のシリーズ第十三弾『麗和落語 ~二〇二六 夏の陣~ 新潟公演』が、2026年8月9日に新潟・国際映像メディア専門学校 i-MEDIA シアターNEXT1にて上演された。忘れかけていた美しい日本語を題材にした創作現代落語を届ける本シリーズ。この日、昼夜にわたって行われた本公演から、夜の部をレポートする。

NGT48のお膝元・新潟で現メンバー&OG集結! 安藤千伽奈が演目に“吃驚”
新潟での初公演となった今回は、新潟を拠点とするアイドルグループNGT48の水津菜月が初参加。そしてOGの安藤千伽奈、西村菜那子が出演。NGT48の“ホーム”での開催ということもあり、チケットは先行販売時点でソールドアウトに。そんな人気公演の幕が開くと、彼女たちを待ちわびたファンから大きな歓声が上がった。
トップバッターは安藤千伽奈。一番手を任された緊張も笑いに変えながら、NGT48のステージで磨かれたトークスキルをいかんなく発揮して観客を巻き込み、会場をを沸かせていく。
喫茶店を舞台に、夏希と冬美、二人の女性の会話が繰り広げられる…と思いきや、冬美の「しゃっくり」が止まらず話が始まらないという意外な展開で、観客の予想をいい意味で裏切っていく。一度は口にしてみたい(?)ような長い名前の喫茶店のパフェ名をスムースに伝える流暢な言葉運びや、終始しゃっくりをする冬美の演技に、安藤の語り部としてのポテンシャルの高さを感じずにいられない。
冬美のしゃっくりを止めるべく夏希が奮闘していく話なのだが、登場人物が喫茶店の店員と客と増えていき…。安藤は一人何役もの変化を時に性別も超えながら演じ切り、最後まで予想もつかない“しゃっくりの乱”を見せつけた。

落語初挑戦の水津菜月が大胆な演目で会場を沸かす
続いて登場したのは、今回初めて落語に挑戦する水津菜月。水津が挑むのは、「人生や世の中の物事は実体がなく、非常にはかないこと」をテーマにした「夢幻泡影」だ。
この日の昼公演で、初めて落語を披露した水津。「お昼はすっごく緊張していたんですが、夜は…絶対緊張してます」と笑いを誘うと、観客から「頑張れー!」と声援が。そんな温かな空気のなか、先陣を切った安藤のネタや踏まえ、現役アイドルあるあるも盛り込みながら、初々しく観客の心をつかんでいく。
「夢幻泡影」の主人公は、寝坊してしまった女性会社員。彼女はどうすれば遅刻せずに済んだのか…“もしも”話が繰り広げられる。寝坊し焦る主人公が時に冷静になりながら会社に向かう様が実に滑稽で、終始、笑いが巻き起こっていた。
遅刻した会社員と彼女を叱責する社長を演じていくのだが…話は思わぬ方向へと飛躍。座布団の上で話し始めた水津が、まさかこんなにも(!)といわんばかりの大きな動きを見せる。落語初挑戦ながら大胆な演目に挑み、見事に会場を沸かせていた。

落語9回目の西村菜那子が経験者の対応力で魅せる!
三番手は、今回が9回目の落語となる西村菜那子。昼公演を観に来ていたという落語経験者のNGT48の現役メンバーの話を早速交えた“マクラ”が秀逸。さらに自身の学生時代の恋愛にまつわる「待ち合わせ」の思い出も暴露。それを元に観客の反応をうかがいながら本筋へと入る西村の話術に、経験者としての対応力の高さが感じられた。
西村が挑むのは、「首を長くして待ちわびること」を紡ぐ「鶴の首」。大事な御曹司との接待のため、新潟駅で待ち合わせする、せっかち心配性のヨーコと、のんびり天然テキトーなハナの話だ。新潟の地元ネタもしっかり盛り込んで笑いを誘いながら、両極端な登場人物を演じ分けていく西村。その巧みな演技力で盛り上げ、オチまで観客をくぎ付けにした。

最後はホロリ…母子の人情噺で心を揺さぶる
そして最後は3人で贈る演目「月日は百代の過客にして」を披露。母親の声が耳に入らない引き込もりの明日美が、ママになるゲームをしていく話で、西村は主人公の明日美、水津は母親、そして安藤はゲームに登場する娘を何と0才(!)から演じた。
母子を題材にしたホロリとさせるこの人情噺が、3人が繰り広げた個人落語の明るい余韻もあって、締めにふさわしく観客の心を揺さぶる。
西村はここでも圧倒的な言葉数の人物を担当しながら主人公の心情の変化を伝え、ゲームキャラクター役の安藤はさまざまな年代の“娘”役を熱演。そんな先輩二人の演技に呼応し、水津も主人公の優しい母を体現。まるで三姉妹のような彼女たちの近しい関係値も相まった抜群のチームワークも、本公演の見どころの一つとなっていた。

アフタートークでは、彼女たちの縁(ゆかり)の地・新潟で落語ができたことに感謝を。
安藤は「落語、またやりたいです!」と高らかに宣言。西村は「9回やっても落語は緊張するんです。本当にもう私はこれでいいかな(苦笑)」と吐露するも、「皆さんが来てくれるなら!」と意欲を口にした。水津は「こういった舞台に立つこと自体が初めて。また新しい自分に出会えて可能性が広がったので、私もまた落語をやりたいです」と笑顔を見せた。「先輩のお二人からたくさん学ぶこともあったので、今後の活動でも活かしていきたい」と期待を寄せる水津に、西村がすかさず「活かせない、活かせない(笑)」とツッコみ、最後まで観客の笑顔を引き出していた。
新潟での開催に思いを込めながら、それぞれの落語を達者に演じ切った3人。終始アットホームな雰囲気のなか、袴姿の美しい“花”たちが高座台で凛と咲き誇っていた。

Text by 小松加奈
麗和落語 ~二〇二六 夏の陣~ 新潟公演 公演概要
【公演名】
『麗和落語 ~二〇二六 夏の陣~ 新潟公演』
【作・演出】
23
【日程】
2026年8月9日(日)14:00/18:00
【会場】
国際映像メディア専門学校 i-MEDIA シアターNEXT1
【About】
令和に生きる麗しき女性たちが演じる、ILLUMINUSオリジナル現代落語シリーズ「麗和落語」第十三弾。本シリーズでは、忘れかけていた美しい日本語を題材にした創作落語を、現代を生きる女性たちが演じます。
今回は、新潟にゆかりのある女優たちによる新潟公演としてお届けします。
令和の時代に立ち上がる、新たな落語のかたち。
新潟公演を、どうぞお楽しみください。
【出演】五十音順
安藤千伽奈
水津菜月(NGT48)
西村菜那子
【協力】
i-MEDIA 国際映像メディア専門学校
【協賛】
株式会社DELTA-V
【公式サイト】
https://www.reiwa-rakugo2026.com/
【企画・製作】
ILLUMINUS



