2024.06.27MAGAZINE

満を持して5年ぶりの再演、エンタメ性高く悲劇を描く 舞台「楽園の女王」ゲネプロレポート

舞台「楽園の女王」が、6月27日(木)に東京・六行会ホールにて幕を開けた。

本作は、「誰も救われない、誰も報われない物語」をキャッチコピーに、2019年より続く『女王ステ』の第11弾。

再演を期待する声も多かった同シリーズ2作目が、5年ぶりに満を持して上演される。

 

この記事では、初日を前におこなわれたゲネプロの様子をレポート。

観劇前の予習に、または観劇後の振り返りに、写真と合わせて楽しんでほしい。

 

***

 

物語の舞台は17世紀初頭。

 

およそ300人を乗せた豪華客船バタヴィア号はとある理由で難破し、その生存者たちは無人島に打ち上げられて一命を取り留める。

自然豊かな島に見えたそこは、実は無人島ではなく、島の奥地では密かに黒死病治療薬の研究が行われていた。

 

数日後、島では生存者たちによる虐殺が始まる…。

 

どこか不穏な空気をまといつつも楽しい豪華客船の旅だと思い開幕した物語は、途中で一変し、テンポを上げて客席を“楽園”へと連れていく。

約2時間とは思えない濃密で作りこまれたストーリーは、最後の最後まで息つくことを許さない。

 

様々な個性を持ったキャラクターたちが織り成す本作だが、やはりリリィ(演:大滝紗緒里)の凛とした強さと、メアリー(演:沖侑果)のどこか寂しさも感じるようなはかなさは、それぞれ役者が持つ雰囲気もあいまって対極すぎるがゆえにどこまでも惹きつけられる。

2人だけでのシーンの空気は、リリィとメアリーの言葉で表せない「運命」を本質的に体現していた。

 

その間を引き裂くように割って入るカーミラ(演:西葉瑞希)は、この中でも圧倒的な存在感で、その歌声と所作の1つ1つに目を奪われる。

舞台上のどこにいようと、どこまでもカーミラとしての圧を放ち続けていた。

最初から異様な雰囲気をかもしつつ、こちらをハラハラとさせ続けたアン(演:星守紗凪)とグレンダ(演:中川梨花)。

この2人の結末は、この物語の中でも1番の悲劇かもしれない。

 

ほかにも、ルイーズ(演:中村裕香里)とフィオナ(演:本条万里子)、マリア(演:佐武宇綺)とエスター(演:日和ゆず)、

イザベラ(演:三田麻央)とエマ(演:草場愛)、とそれぞれに秘密や事情を抱えるペアが悲劇を彩っていく。

観劇後には、どのキャラクターも最初に抱いた印象から変化し、よりそれぞれの魅力を受け止めているに違いない。

キャスト全員が舞台上に集結して歌い踊るM3「楽園の女王」は圧巻だ。

ただその歌詞の意味は、物語が進んでいく中で少しずつ受け取り方が変わってくるかもしれない。

リプライズも多く組み込まれているため、そのあたりはぜひパンフレットを購入して確かめてみてほしい。

 

また、開演前・終演後には、豪華客船を思わせるようなアナウンスも流れているので、観劇前後も存分に「楽園の女王」の世界観に浸ってみてはいかがだろうか。

 

リリィやアン、『女王ステ』を牽引するキャラクターたちが登場することに加え、再演にあたって新曲の増加などアップデートされた面があることから、

これまでの『女王ステ』を観ている方も本作初演を観劇済みの方も、より楽しめる内容となっている。

 

もちろん『女王ステ』初見の方は、この女性キャストのみで魅せる美しさとそれゆえの恐ろしさである『女王ステ』の魅力を新鮮に受け取ってみてほしい。

「楽園の女王」とはだれのことなのか…その答えは、ぜひ自分の目で。

 

公演は、6月30日(日)まで東京・六行会ホールにて行われる。

 

取材・文:今田夏見

 

 

 

 

 

舞台「楽園の女王」

【Introduction】

「誰も救われない、誰も報われない物語」をテーマに、血塗られた実在の悲劇をモチーフにし、女優のみで描く「女王ステ」シリーズ。

第11弾は、再演希望の声も多かったシリーズ2作目「楽園の女王」が5年ぶりの上演となる。

リリィやアン、そしてエリザベートやアメリアといったシリーズを牽引した人気キャラクターが登場し、歌やダンスといったエンターテイメント性が高くありながらもその悲劇性から人気も高かった本作。

劇場サイズだけでなく、新規楽曲も増え、スケールアップしての上演となる。

 

【Story】

17世紀初頭。

オランダ発、341名を乗せた豪華客船バタヴィア号は難破し、

その生存者たちが豊かな自然に恵まれた無人島に逃げ延びた。

しかし、島の奥地では、まだ幼いメアリーたちが隠れて治療薬の研究を行なっていた。

その数日後、生存者たちによる虐殺が始まるー。

 

誰も救われない、誰も報われない女王ステシリーズ第2弾。

「殺人島」伝説をモチーフに輪廻の運命に翻弄される女たちをダークでゴシックな世界観で描く。

 

 

【Stage Information】

 

■作・作詞・演出:吉田武寛

■音楽:hoto-D

■日程:

6月27日 (木)14:00★ / 19:00

6月28日 (金)14:00★ / 19:00

6月29日 (土)13:00 / 18:00

6月30日 (日)12:00 / 16:30

★→お見送り会実施公演

 

■会場:六行会ホール

〒140-0001 東京都品川区北品川2丁目32−3

 

【出演】

沖侑果

大滝紗緒里

 

西葉瑞希

三田麻央

佐武宇綺

中村裕香里

岡田あずみ(STU48)

本条万里子

草場愛

日和ゆず

中川梨花

山﨑悠稀

 

星守紗凪

 

<サーヴァント>

石田みう

杉下希美

藤田こころ

山口輝鈴

結城まお

 

【チケット】

<S 席>A列〜D列

9,500円 (特典付 11,300円)

 

<A 席>E列以降

7,300円 (特典付 9,100円)

 

★特典は特製クリアファイル・メインキャストポストカード(13枚セット)。

 

■Live Pocketにてチケット一般発売中

https://t.livepocket.jp/t/rakuen2024

 

■公式HP

https://www.queen-of-heaven2024.com/

 

■公式X(旧Twitter)

https://x.com/AKANOJOHOU

@AKANOJOHOU

#楽園の女王2024

 

■企画・製作

ILLUMINUS