2023.09.03MAGAZINE

舞台「NO TRAVEL, NO LIFE」2023ゲネプロレポート

【2023年5月10・11日 開幕直前/ゲネプロ撮影】

<ゲネプロとは本番同様の通し稽古のこと(ドイツ語のGeneralprobeゲネラールプローベの略)。衣装もメークも本番同様にオープニングからラストシーンまで、照明や音響なども含めて通して演じる。メディアなどを招待して記事を書いてもらうこともある>

ゲネプロのGENEは英語で「遺伝子」の意味でもある。“僕“須田誠と、”ボク“渡辺和貴は、兄弟でもなく、親戚でもなく、クローンでもアンドロイドでもない。今は全く同じ遺伝子を持つ同じ人間なのだ。2023年の”僕“と1994年の”ボク“が同時に今日、同じ空間に存在している。この世の中にこんなことはありえない。しかし僕の目の前にいるスダマコトは須田誠なのだ。

僕にしかわからない独特な不思議な空間と時間の開幕だ。今まで読んだどんなSF小説よりも面白い。1994年の僕がボクになって2023年に蘇り、僕の目の前で、約30年前に僕が発した言葉をリアルな声で再現する。

更にそれを僕が撮影する、今。

もういつが「今」なのかさえわからなくなってくる。

今、舞台で過去が蘇り、それを撮影した写真はすぐに過去へと飛び去り、それを写真集というタイムマシンに落とし込みまた未来で蘇らせる。

記憶はすぐに忘れ去られる。昨晩の晩御飯さえ忘れてしまうことがあるぐらい記憶は曖昧だ。どんな名舞台でさえ夢の断片のようにしか頭の中には残らない。しかし写真は残る。写真集はその瞬間の記憶を紙の上に刻み込み、先の未来へ送り出すタイムマシン。

舞台という空間芸術。雰囲気が確固たる形を作り上げている。

静寂な舞台。

役者はまだ姿を現していない。

カメラとスーツケースが置かれている。BGMに心地よい静かな空港の雑踏音が流れている。これ以上ない演出。

突然客電が消え、役者が現れ一人一人が語りだす冒頭のシーン。そしてジェット機の轟音とともに強いスポットライトがステージと客席を煽り。閃光に目を細めた瞬間、タイムマシンが動き出した。

望遠レンズ越しに渡辺和貴の顔を追いかける。人は自分の顔を外から見たことがない。しかし今、僕は、客席から時代を超えて昔のボクの表情を追いかける。右に左に前に後ろに駆け回る渡辺和貴。いやスダマコト。天を仰ぎ、うつむき、振り向き、ときに静かに、ときに叫び。彼の口から飛び出てくる放浪の哲学をカメラで捉える。

主役の彼も他の俳優同様に、一度たりとも舞台袖にはけない。特に主役は約一時間半の舞台で常に前面に立ち、休む暇は全くない。間断なく演技を続けなければならないので考えている暇などはない。普通の舞台であれば袖に引っ込んだ時に台本を確認したり、水を飲んだり、休憩したりできるが今回の舞台ではそれができない。スポットライトは彼を照らし続けた。

今回、そんな主役の心象風景と舞台背景をみごとに表現してくれていたのが照明だ。舞台は動き回る光で溢れていた。ウキウキしているときの輝き、心臓がドキドキするライティング表現、吹雪の強さと奥行き感、床に当たったライトさえもその場面を表現しているシーンもあった。その照明の効果とともに実際に旅で撮影した写真映像が加わり舞台が立体感を醸し出す。

マティスの絵は「色彩の魔術師」と表現されている。生きる喜び、あふれる色彩。まさにこの舞台の照明がそれを表現していた。稽古のときに見た小道具たちも照明の光を浴びてカラフルにマティスと化していた。

舞台は人生と同じように山あり谷ありで進行する。

高校三年の時。三者面談の緊迫した不穏な空気が漂うシーン。ボク渡辺和貴はうつむき厳しい表情。母親は心配そうに息子を思う。先生は呆れて、誰も望んでいない就職先を押し付けてくる。

先生「須田君は将来何になりたいのかな?」

僕は、子供の頃の自分を目の前にして泣くのをこらえていた。その葛藤と苦悩が演技からも伝わってきて、いたたまれない気持ちになる。いやいやこれは舞台であって仕事なんだ。感情移入している場合ではない。冷静に撮れと自分に言い聞かせる。

過去のボクに涙を見られないようにカメラで顔を隠し、仕事をするふりをしながら心の中で叫んだ。

和貴! そこで台本を書き換えろ! 先生の言うことなんて聞くな。就職なんてするな。今、俺の過去を書き換えろ! 今すぐ楽器を抱えて世界へ旅立つんだ! 和貴頼む、台本も観客も、演出家のことも段取りも全て無視して舞台の流れを変えろ。就職なんて無駄な回り道だ! 迷うな、間違えるな! 俺を救ってくれ。

しかしそんな想いが通ずるわけもない。舞台でさえも過去を変えることはできなかった。ボク、渡辺和貴は台本通り、就職して普通の人生を歩んだ。

バック・トゥ・ザ・フューチャーでもドクが言っていた。
「未来は自分で切り開くものなんだ」。

舞台は、始まってしまったら最初から最後まで突っ走るしかない。途中で段取りを間違えようが、失敗しようが、台詞を忘れようが引き返すことはできない。やり直しはきかないLIVEだ。それはまるで一度きりしかない人生と同じではないか。

スダマコトは挫折し、恋をし、成功し、また坐礁し、旅に出て、自分を見つける。道を間違えたかもしれない、方向を変えることもできたかもしれない、遠回りをしたかもしれない。しかし振り返ってみれば道は一本しかなかった。迷子になった道も、間違った道も、曲がりくねった道も、すべて正しい道だったのだ。

文・写真 須田誠

次回、ロケ撮影の生レポートへつづく。

「須田誠、スダマコトを撮る」2023続報

「NO TRAVEL,NO LIFE」の原作者須田誠氏が、須田誠を演じた渡辺和貴を撮影するプロジェクト「須田誠、スダマコトを撮る」2023。その写真集のタイトルが、「MOVE ON」に決定しました。
内容は、舞台稽古、ゲネプロ、ロケ撮影と渡辺和貴の魅力満載の一冊。豪華100ページ越え!!
ご予約は9月9日(日) 9:00〜よりILLUMINUS STOREにて開始いたします。

▶︎写真集「MOVE ON」のご予約について

👉予約サイト:ILLUMINUS STORE
https://illuminus-store.com/

👉予約日時:2023年9月9日(日) 9:00〜

 

また、9月9日は渡辺和貴さんのバースデーイベントも開催予定です!
会場では写真集「MOVE ON」のチラシも配布予定です。お見逃しなく!
詳細はこちら☟

かず茶 vol.10 〜渡辺和貴のお誕生日会。今年は 9 月にできました。

かず茶vol.10

◆公演日時:2023年9月9日(土)
1部13:00〜
2部17:00〜
*各部開場は開演の45分前

◆出演
渡辺和貴

◆MC
輝山立

◆ゲスト
<1部>
鈴木祐大

<2部>
坂垣怜次
湯本健一

(五十音順)

◆会場
BAGUS PLACE
(〒104-0061 東京都中央区銀座2丁目4−6 銀座 Velvia 館 B1F)

◆チケット
6,800円(税込)
*当日別途ドリンク代500円が必要となります。
※チケットは各部お1人様1回2枚まで。
※未就学児入場不可。
※営利目的の転売禁止。

◆イベントの詳細
https://kazuki-watanabe.com/contents/659210

◆イベントに関する問い合わせ
kazcha.info@gmail.com