
第4回 エジプトにも魔術学院が!?
‐完全実力至上主義の神学府‐
やさしいほうが残酷!?
ミエリ:第4回目は、エウラリア黒魔術学院からは遠く離れたエジプト――ネフレンケム神学府からお届けします! ナイル学長、ズヴィー先生、アルコット先生。よろしくお願いします!
アルコット:ミエリさん、お久しぶりです! クリスさんはお元気ですか?
ミエリ:はい! 錬金術科で、みんなと楽しく学んでいますよ。
ズヴィー:おやおや? 〝楽しく〟というのは、〝馴れ合い〟の間違いでは?
ミエリ:ギクリっ! えっと……その……。クリスさんはもともと神学府で学ばれていましたが、よきロールモデルとして、エウラリアでもイリスたちから尊敬を集めています。
ナイル:このインタビューは、神学府の広報が目的と聞いているが? 改めて自己紹介から始めたほうが良いのかな?
ミエリ:はい、すみません! ちゃんと仕切れていなくて! ナイル学長からお願いします。
ナイル:ネフレンケム神学府の責任者・ナイルだ。お? もしかしたら、エジプト・ナイル川だからナイル、など安易なことを考えてはおるまいな? 私は混沌の邪神。ナイアーラトテップである。
ミエリ:ナイル学長! 邪神の話題ってそんなにオープンにしていいんですか!
アルコット:かくいう私も邪神ですよ! とはいえ、クリスさんと魔力を分け合っておりますので、邪神としての力はそこまでありませんが。
ミエリ:えっと、補足しますね? もともとこちらのネフレンケム神学府に在籍していたクリスさん――クリス・ネフェルティは私と同じ《深淵の姫君(プリンシエ・アビスン)》で……。
アルコット:はい! プリンシエは邪神の血を引く人間。人と神、両方の性質を持つ者。クリスさんには、邪神としての私の血が分けられているんです! あ、ちなみに私は殺戮の邪神、バーストです♡ がおーっ!
ミエリ:……猫耳で可愛いのが逆に怖いですね。続いて、ズヴィー先生、お願いします。
ズヴィー:ナイル学長の補佐をしております。ズヴィー・ソルティと申します。
ミエリ:このインタビューシリーズでは、黒魔術学院へご入学をご検討の皆様に、学び舎の魅力を語っていただいております。
ズヴィー:我が校の魅力はなんといっても、完全実力至上主義の校風でしょうな?
ミエリ:お噂はかねがね。厳しい校風とお聞きしています。
ナイル:私はこう思っているだけだ――優れているものの生産性を下げるべきではない、とね? 優れたものを優遇するのではなく、できないものに優しくすることは、私の望むところではない。
ミエリ:そう言われると、不器用な自分は心が痛いです……。みんなの生産性を下げる邪魔者になっていないか……。
混沌と秩序
ミエリ:お話お聞きしていて思ったのですが……。混沌の邪神なのに、ナイル学長は結構、秩序を重んじていらっしゃるんですね?
ナイル:なっ……、貴様……。
ミエリ:ああっ、私なんかマズイこと言っちゃいました!?
アルコット:神学府では、ナイル学長に楯突く反逆者はいませんからね〜
ズヴィー:ナイル学長。気を確かに。
ナイル:こほん。混沌とは秩序がないことではない。むしろ、あらゆる秩序の根に潜む理(ことわり)だ。無秩序の中に、最も純粋な秩序が宿る。それを理解できぬ者は、混沌を恐怖としか見なさぬ。
ミエリ:えっと……つまり、混沌にもルールがある、ということですか?
ナイル:神々の法も、人の法も、いずれ崩れる。だが“崩れる”という法則自体が、混沌の秩序なのだ。
アルコット:えーん、混沌? 秩序? よくわかんなくなっちゃいましたー!!!!!
ズヴィー:さすがはナイル学長。混沌すら論理で支配なさる――まさに理不尽の権化。
ミエリ:黒魔術の腕試しをしたい! 厳しい環境で自らを追い込みたい! そんなストイックな方に、神学府はおすすめですね。
ナイル:力を求める者だけが、ここで生き残る。優しさではなく、覚悟を持って来るがいい。
アルコット:でもね、怖いだけじゃないんですよ! みんな真剣だから、失敗も本気で叱ってくれるし、成功したらちゃんと認めてもらえるんです!
ズヴィー:もっとも、その叱りがイリスの心に残るか、魂に残るかは――運次第ですが。
ミエリ:そういう緊張感のある学び舎だからこそ、本物のイリスが育つのかもしれません!ナイル学長、アルコット先生、ズヴィー先生、本日はありがとうございました!
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以上、インタビューシリーズをお送りしました!
『イリス・ノワール』の魅力的なイリスや先生方、そして少し不思議な邪神たちの一端を感じていただけたでしょうか?
光と影が交わるとき、物語は最終章へ――。
舞台「イリス・ノワール ‐終園のルルイエ‐」では、私たちイリスの旅がついにクライマックスを迎えます!
ぜひ劇場で、“終わりと始まりの物語”を見届けてください。
それでは――エウラリア黒魔術学院より、ミエリ・ホーリーでした!