25.5.24“ビズコメ”が描く“笑いの設計図”
落語からコメディへ
— 日向野×23の笑いの設計図 —
脚本・演出を手がける23と、主演・日向野祥が舞台では初タッグを組むBIZ slapstick comedy #001【リスケ!】。座談会の前編では、二人の“飲み”をきっかけに築かれた関係性や、『勤人(リーマン)落語』でのエピソード、そして笑いの呼吸をどう共有してきたかを深掘り。笑いの裏にある丁寧なコミュニケーションと、キャストの特徴にあったキャラクター構成、セリフが飛び交う舞台裏が浮かび上がる。
23:結構飲みに行くタイプ?
日向野:バリバリです、行きますよ。お酒が幸せ。
23:一緒じゃん。僕も実は毎日飲んでるんですよ。昨日はウイスキーを飲んでました。
日向野:僕はもうレモンサワー、レモンサワー、レモンサワー、からのレモンサワー。
23:ビール入らず(笑)
日向野:最近ワインにも目覚めてしまいました。
23:あら〜、それは趣味で?
日向野:はい。前まではワイン飲んだら頭痛くなってたんですけど、僕も大人になりまして。
23:あら。
日向野:「したたむ」? 「したたむ?」
23:「たしなむ」ようになって。
日向野:そうなんですよ。
23:いいですね。
日向野:ちょっとグラス買って、ちゃんとしたやつ。なので、この稽古期間中に行きましょうよ。
23:確かに。すごくやりやすいですね、日向野さんは。稽古も。
日向野:本当ですか?
23:やりやすいです。自分の笑いも持ってくるし、僕の笑いもちゃんと受け止めてくれるというか。
日向野:唯我独尊、我が道を行くタイプもいますからね。
23:やっぱ役者さんって、こだわりが強い人も多いから。でも強いだけじゃなくて、ちゃんと自分も持ってきて、こっちの提案も汲んでくれる。
日向野:本当ですか? 『勤人(リーマン)落語』で、それこそ僕、もう5回か6回ぐらい出てますね。3回目ぐらいから本読んだだけで、「あ、これこう言われるな」「あ、これこう来るな」って、レ点でチェックしてるんですけど、毎回。
23:マジ?
日向野:Zoomで稽古してるじゃないですか。そっちから見えないと思うけど、「ここは絶対言うポイント」っていうのを、僕「23」って書いてるんですよ。「23ポイント」。
23:見事ビンゴしてます?
日向野:はい!
23:やっぱり。今回もあります?
日向野:昨日、顔合わせで本読みやったんですが、みんなでやる23の本が初めてだから、逆にわからなかった。いつものポイントって「こここう来るよな」っていうのが。相手の間にもあるわけだし。相手が「ダーダーダーダー」って来て、「引いて、え?って落とす」のか、「え?って乗っちゃう」のか、とか。どっちなんだろうって、めっちゃ困惑しました。
23:今回で私の真骨頂が見られるかもしれませんね。
日向野:なるほど。
23:ついに。
日向野:「34」になるんですか、じゃあ。
23:いやいやいや、数字が1個ずつ増えないんですよ。
日向野:あ、違うんですか?
23:別に「1」「2」から始めたわけじゃないんです。
日向野:モーニング娘。的なあれじゃないんですか?
23:違う違う。ずっと「23」なんですよ。
日向野 あ、そうなんですか? ごめんなさい、ごめんなさい。上がっていってるのかと思った(笑)
23:「23レベル1」とかにはなってくかもしれないけど。ちょっと今回、見せましょうね、じゃあ。
日向野: ぜひお願いします。
23: 日向野さん、どうですか? 『勤人落語(リーマン)』で何か変わりました?
日向野:1回目に出させていただいた時に、めちゃくちゃ楽しくて。
23:向いてましたもんね。
日向野:初めてですよ、音響さんたちに「落語家の先生ですか?」って言われたの(笑)
僕、結構古典演劇とか、和ものが好きで、普段から着物を着させていただくことも多いんですけど。そういうのも相まって、落語っていうものも実はちょこちょこ観に行ってたりとか。それこそ、YouTubeで今なんでも見られるじゃないですか。
やっぱり落語をやると、いろんな現場での言葉の抑揚だったりとか、音色だったりとか……もちろん心で芝居するのが役者の大前提なんですけど、それ以前に「聞いてる人にとって聞き心地がいいこと」って大事だなって。
23:なるほど。
日向野:あと、テンポですよね。これは本当にこの場で学ばせていただいてて。変な話ですけど、ワークショップやレッスンを100回やるより、『勤人落語(リーマン)』を1回やった方が100万倍レベルアップできる。
23:すごい言ってますよね、若手の俳優は。絶対やった方がいいって。
日向野:出るべき。お金払ってでも出るべき。声を大にして言いたい。
……ごめんなさい、ちょっと熱が入っちゃっうぐらい、僕はもう好きなので。
やっぱりね、23の演出方法とか、聞かせ方とかが相まって、そこからいろんな稽古場での、「この役に対しての音の出し方」っていうのは、すごく僕は勉強になります。
23:あと、日向野さんの“三枚目”がすごく好きで。イケメン役とか結構多いじゃないですか。
日向野:まあ、やらせていただくことは多かったですね。
23:でも、やられる側の、ちょっとボロボロになっていく感じとか、焦らせる感じ? 焦らされてる感じの役がすごく良いんですよ。だから今回も「テンテコマイノスケ」って名前から作ったんですけど。
日向野:僕、読んでて「これ当て書きですか?」みたいな感じがすごく多くて。昭和顔の俳優とかもそうなんですけど、「これはもう俺に言ってるな」みたいな。
23:受けツッコミとか得意ですよね?
日向野:いや〜、得意なんですかね?
23:得意だと思いますよ。音がすごく上手い。お客さんの声を代弁するツッコミがめちゃめちゃ上手いんで。ほぼ当て書きです。
日向野:最近、他の現場でも実は全く同じことを言われることが多くて。ツッコミ三枚目っていうか。僕、ツッコんでるつもりなんですけど、ボケちゃう。
「お前それ違うだろ、これはこうこうこうだよ! ペットボトルなんだよ!」って、水筒持ちながら言ったりとか。
23:はは(笑)それはただのミスでしょ(笑)
日向野:ミスなんですけど、気づいてないんですよ。真面目にやってるつもりなんですけど、「ツッコミ役できない」って言われて。
23:ツッコミの“間”は素晴らしいんだけど、「声がボケ」っていうね、この特殊な。
日向野:あー、なるほど。
23:すっごくいいんですよ、だから。
日向野:そうなんですか。
23:ツッコミって、ボケなんですよ。
日向野:ん?
23: たとえば、ダイアンの津田さんとかも、その人自体が面白いじゃないですか。ああいう人がツッコミやるから面白いんですよ。
日向野さんも面白いから、声のトーンとかもね。
日向野:喜んでいいですか?
23:「なんでそんなこと言うの!?」って言えるでしょ?
日向野:言えますよ。
23:それでツッコむから面白いんですよ。真面目な人がやっても面白くない。
日向野:あー。しかも、あれですよね。作ろうとしちゃうとね。
23:そうそう、作っちゃうと良くない。今回、なかなかマリアージュできたんじゃないかなと思って。日向野さんの“ボケ”の部分と “ツッコミ”の部分と……。
日向野:マリアージュ?
23:マリアージュ。最近覚えたんだけど。
日向野:誰?
23:いやいや、誰(笑)
日向野:マリアージュって何?
23:外国人の女性じゃないんだよ。
日向野:どこ? フランス人?
23:いや違う違う(笑)
日向野:なんすか、マリアージュって。
23:あの、なんかこうね——……マリアージュってどういう意味ですか(笑)
スタッフ:「『マリアージュ』は、フランス語で「結婚」を意味する言葉で、ワインと料理の組み合わせの相性を表現する際に使われます。」とのことです。
23:組み合わせ、組み合わせ!そう、組み合わせがいいなって思ってます。
日向野:でもこれ、今回のキャストは、皆さんお知り合いなんですか?
23: いや、4人ぐらいしか知らないです。
日向野:あ、そうなんですか。
23:で、写真見てキャラ決めたんですよ。雄土尾どお役の田中晃平さんとか。
日向野:はい。
23:なんか「おどおどとしてそうだな」と思って、“おどおど”にしたんですよ。でも、昨日本読みして「良かった」と思って。
日向野:いや、そう。晃平もやっぱ上手いですしね。晃平、別現場だったんですけど、「祥さん、俺、おどおどしてますかね?」って。
23:ああ〜。
日向野:「いや、おどおどしてるぞ」って(笑)
「俺とか樹とかは、当て書きなの絶対わかる」って。もう、まんまですよ。ただ、鷲尾修斗とかも、あんなにうるさいのに。「俺、あんまやんないキャラなんだよね」って言ってた。
23:鷲尾くんをちょっと変えようと思って。
日向野:あ、本当ですか?
23:はい。メガネかけてるけど、もうキャラはちょっとぶっ壊してもいいかなとは思ってます。
日向野:すごいんですよ、あの人も。まあ、与えたら100で返ってくるんですよ。
23:いや、みんなすごい。あの、えっと、“騰々まさる”役の木村さんとかもすごかったし。
日向野:そうですね。
日向野: いや、面白い。今回の作品は、どういう経緯で作ったんですか?
23:いや、もともと『勤人落語(リーマン)』の第1回目の時に、第1回のメンバーで「サラリーマンのお芝居やりましょうよ」「でっかいコントみたいな話」って、ずっと話してたんですよ。
日向野:そうなんですね。
23:ずっと話してて。念願叶ってやっと男性12人のコメディができることになった感じですね。
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