▼「喫茶ライフ」という作品について

・今回再演となる「喫茶ライフ」という作品はどのような作品ですか?作品の魅力や見所などを教えてください。(赤沼さん、中谷さん)
赤沼 喫茶店の中で行われるヒューマンドラマですが、ちょこちょこと小さいドラマが起きていきます。それが、あるタイミングで1つに繋がる。それに気付いた瞬間、一気に「吉田ワールド」に引っ張られます。(前回)演じていたので本当に思うのですが、光と音楽と映像が、すごく良い感じで融合してくるので、気付いたらその波に乗ってしまいます。お客さんには、そこで抗わず、引っ張られたまま流れていってもらいたいですね。最後にはきっと「もう1回観たいな」と思ってしまうと思います。本当に、僕はこの話が大好きなんです。

 

・赤沼さんが演じた役柄を、今度は中谷さんが演じられるということで、役へのアプローチなども変わってくると思うのですが、いかがでしょうか。

赤沼 役者が変わった時点で、作品の色が変わるので、「前回の方が良かった」「今回の方が良かった」とは考えず、全く別の作品として臨むつもりです。今回はトミーがマスターを演じますが、僕はイメージができてるんですよ。「花嫁は~」を一緒にやって、彼が主演を演じながら、お客さんへの愛情と責任感がとてもあったのを見ていたから。だから、きっとマスターにはぴったりだとイメージできる。良い「喫茶ライフ」になると思います。僕は、それを影ながら支援したいと思います。

中谷 …恐縮です。

赤沼 アハハハハ(笑)!影ながら支援します。

中谷 いや、大いに僕は依存します。寄っかかりますよ僕は、先輩に!

赤沼 アハハハ(笑)!ただ、前回マスタ―役をしていた人が、今回別の役で出ているということで、もし少しでもプレッシャーを与えちゃうようだと、僕の出演というのは間違っていると思うんですよね。

中谷 先輩!今のところ、プレッシャーは無いです。

赤沼 あ、それなら良かった!

中谷 …というのは、先輩の表現したマスターには、僕はなれないからなんですよね。そもそもが別の人間だからなのですが。やっぱり、その人がどういう人生を歩んできて、どういう風に人と関わってきたのかが、にじみ出てしまうと思うんです。悔しいかな、どうしても出てしまう。だから、精一杯生きるしか、できないんです。色も「つけよう」と思って、つけられるものではない。精一杯、この舞台上で生きるしかないんです。でも、前回の「喫茶ライフ」の成功があって今回の機会があるものなので、そのリスペクトの気持ちは、絶対に忘れたくないです。

赤沼 …ありがとうございます。(小声)

中谷 何で小声なんですか(笑)!

 

  • 再演で、新たにチャレンジしていきたいことはありますか?


赤沼 さっきトミーが言っていたように、自分は生まれてから現在まで、色々な人と出会って、色々なものを見て、色々なことを感じながら育ってきている。きっと、その人間性が出ると思うんです。その中で、言っていることは一緒になってしまうのですが「精一杯」ですよね。何をどう頑張るかとか、そういうことではない。稽古中は背伸びをしないと見られない景色というのがあるので、背伸びしようと思うんですけど。

中谷 今のカッコイイっ!

赤沼 フフフ(笑)。本番になった時には、その景色も含めて、自分が精一杯出せるものをお客様に届けたいと思っています。出演者の人数分だけ、1個1個、パズルのピースがあります。どんなに小さいパーツでも、完成したものを観た時に、無かったらそこが目立つんですよ。だから、どんなに小さくても精一杯生きるということが、絵を完成させる1番の近道だと思います。

中谷 僕は、役者として何かを発信するのは苦手だと感じていて。「キャンパスでいたいな」と思っているんです。特に今回の作品は、登場人物たちの人生が浮き立ってきて初めて成立する物語だと思います。だから、僕は額縁、真っ白いキャンパスでいれば、そこにそれぞれが浮き立ってきてくれる…。土台でいられれば、必然的にパズルが完成していくのかなと思っています。とはいえ、僕は基本的に舞台上でふざけたい人なので(笑)、法の目を掻い潜って色々やりたいなと思ってはいますね(笑)。

赤沼 そこは、役者としての必要な部分だったりするよね。

中谷 あわよくば、とんでもない色をキャンパスにつけてやろう!という。

赤沼 吉田さんはちゃんとまとめてくれる。僕も「こういうことをやってみたい」というのを、吉田さんに向かってアクティブにチャレンジしたい。去年のマスターの台詞には、時事ネタがあったんですよ。でも、今年同じ時事ネタは使えないので、どう時事ネタが変わっているかな?と。そこが楽しみですね。結構、面白い時事ネタだった。マスターはこういう面白い部分が、ちょいちょいあるんですよ。だからトミーは楽しくて、色々やっちゃうんじゃないかな、と。

中谷 フフフ(笑)。

赤沼 稽古が進まない可能性がある(笑)。

中谷 アハハハハ(笑)!

赤沼 それが怖い(笑)。

中谷 いやいや、僕は普通にしかやらないですから!

赤沼 トミーの普通は違うでしょ、稽古進まなくなるやつでしょ!

中谷 フフフフ(笑)。楽しいですよね。

赤沼 うん、楽しいよね(笑)。俺もそれ見てて、面白いんだけどさ(笑)。良い意味で遊びながら、良い作品、良い年末にしたいですね。


・お2人の相性の良さが、伝わってきますね。

赤沼 まだ出会って半年なんですよ。

中谷 そうそう。

赤沼 8月の「花嫁(は雨の旋律)」が初めて。「まだ半年しか経っていないんだ!」という気はしますね。「花嫁(は雨の旋律)」が濃密だったので、それが大きいのかな。



▼ お二人とも2017年最後の公演となります。今年を振り返るとどんな年でしたか?
来年はどんな年にしたいですか?

中谷 毎年言っているのですが、2017年も出会いの年でした。たった半年しか経っていないのに、こんなに仲良くしてくださる先輩と出会えたり。

赤沼 うんうん。

中谷 2017年を振り返った時に、絶対に外せないのが「花嫁~」です。主演も何本かやらせて頂いたのですが、「花嫁~」は強烈に残っています。やっぱり「人」なんですよね。どんなに良い作品ができても、それをお客様と共有できなかったら何の意味もないですし、チームのメンバーの空気感や、そこで生まれる信頼関係も必要だと思うんです。見て下さったお客様との出会いもあり、一緒に作品を作れた仲間にも出会えた。人との出会いは、年を重ねてくるとどんどん少なくなってきてしまうものですよね。先輩に対して失礼なのですが、先輩とも、何か友達みたいな感覚があって…。もちろんリスペクトがあった上でなのですが。…リスペクトって口に出すと、何か軽くなるな…。

赤沼 フフフ(笑)。僕も、イルミナスさんと仕事をしていなければ、たぶんトミーとは街中ですれ違うだけの関係性で終わっていたかもしれない。どのタイミングで出会えるか、そのタイミングが大事になってくると思うんですよね。今年はそういう意味でも、一気に広がった。今年最初の3月にやった舞台は、いつもお世話になっているところで、知っている人も多かったのですが、8月の「花嫁~」は、知っている人が誰もいなかった。10月の舞台も知っている人は1人しかいなくて。今回も、新しい子たちとの出会いがある。凝り固まってきてしまっている頭を、若い子たちとの出会いで、ほぐしてもらえる。僕が教えるとか見せるとかではなくて、彼らから教えられることがある。学ぶ姿勢を忘れないでいたいです。

中谷 僕も、先輩にはどんな部分も見せられる、というか…。そういう人と出会えたのは、僕にとってすごく貴重でした。ひとつの大きな出会いでしたね。俳優さんの中には、「俺は誰とも群れない。でも舞台上ではバシッとやる」という人もいます。それもすごくかっこいいな、プロだなと思います。けれど、僕は「楽しければ、楽しいだけ良いじゃん!」と思うタイプ。人間として、楽しくありたい。笑っていたいんです。「舞台作りは人作り」だと教えられましたし、僕自身もそう感じている。人間対人間として、濃くしていきたいですね。先輩をはじめ、色々な人と出会わせてもらえたことで、たくさんのものをもらってきた。だからこそ僕自身も成長していきたいし、若い子たちに「お芝居の世界って楽しいよ」ということを、伝えていきたい。「生きてるって楽しいよ」と、感じてもらえたら嬉しいです。もちろん責任も伴うけれど、責任感でガチガチになるのではなくて、みんなで楽しく。責任を持って遊び続けていきたいですね。

赤沼 今年最後、クリスマスに向けての素敵な話なので、良い作品にして終わりたいと思っているけれど、良い作品に「なる」のは間違いない。だからもう、後はトミーに任せて。ね?

中谷 …エッ?

赤沼 何でそんなに声が小さいの(笑)!来年もこうやって、トミーと絡める作品があるといいなと思っています。

中谷 こちらこそですよ!またお酒、飲みに行きましょうね。

赤沼 そうだね。


・お客様へ、最後にメッセージをお願いします。

中谷 年末ということで、 次の年に向けての元気と、慌ただしい師走にホッと一息つけるような、そんな時間にしてもらえたらと思っています。是非、劇場で一緒に暖かくなりましょう!

赤沼 年末でバタバタしているかもしれませんが、その合間を縫って、ちょっとホッとする時間を作ってもらいたいな、と。きっとこの作品を観たら、間違いなく「今年1年は良い1年だった」と思えます。ウソだと思う方は劇場まで来てください、本当だから(笑)!多くの人に観てもらって「来年もやって欲しいです」という声を是非、聞きたいなと思っています。「喫茶ライフ」が、年末の風物詩として続いていってくれたら。まずは楽しんで頂けたらと思います。楽しみにしていてくださいね!

【企画・構成:小宮山薫 取材・文:Murata Yumiko  写真:豊川裕之 ページ作成:名越未佳】